セラセカン
調査データ / Scan Data
角状の殻を戴く放浪者
- 分類
- 甲殻類 / Crustaceans
- サイズ
- 全高 約3.5m
- 脅威度
- 無害/Harmless
PDAデータバンク / PDA Databank
コマンド用に割り当てられたメモリ内でスクリプトフックが検出された。
コマンド >> データバンク生成 "セラセカン" >> エコー
\メモリ記録記号=0xSEABEEF5 >> データバンク復旧
"我々のPDAがセラセカンのような生物を指して「見よ、選ばれることのなかった道を」と声高に言った。地球では粘液の中に棲む微小な生物にすぎない貝虫は、プロテウスでは巨大に成長する。だが、除染済みの基地での安穏な生活がプロテウスの呼び声を遠ざけるように、安易なアナロジーは真実を覆い隠す。誤っているのは地球の地図だけではない。その根底にある教義そのものだ。ここでは、進化は道筋を辿らない。"
—アニータ・ゴットシャル著「故郷から離れた道」
エクザイル・セラセカン、角状の殻を戴く放浪者。謎に満ちた肉食性かつ堆積物食性の生物で、唯一の比較対象は極小の貝虫(カイミジンコ)である。
1. 放浪者
牡蠣やハマグリに類似した、二枚貝のような直立型の殻の内部に隠れた甲殻類。セラセカンは中央部の眼と潜望鏡状の耳で外界を感知し、底部の触手群で摂食を行う。貝殻の蝶番(殻頂と呼ばれる部位)にある推進器官によって前進する。
2. 行動と食性
セラセカンは海底で摂食を行い、隠れ場所からデトリタスや獲物をつまみ出す。殻の内部は麻痺性神経毒で満たされ、もがく獲物から本体を守る。この毒はセラセカン自身の殻筋にも作用しており、解毒剤を分泌しなければ殻を開くことができない。
3. 遺伝子の謎
セラセカンのゲノムには殻を形成する遺伝子が存在しない。遺伝子的には、セラセカンは単なる大型のエビである。殻組織には部分的にゲノムが含まれているが、独立して生命を維持する器官を持たない。さらなる調査を推奨。
評価: 起源は不明。捕食時に開いた殻の内部を採取し、化学実験に利用可能。
出典: ゲーム内PDAスキャン「セラセカン」
Source: In-game PDA scan “Cerathecan”
概要 / Overview
開閉可能な巨大な殻と、獲物を捕獲するための多数の触手を備えた、奇妙な外観の遊泳性捕食者。
二枚貝のような外観と機能を持つが、実際には甲殻類に分類される生物である。殻の内部には4つの単眼と、鋭い爪を備えた2対の脚が存在し、わずかに甲殻類としての面影を残している。
4つの単眼のうち、中央に位置する最も大きな眼は、殻を閉じた状態でも隙間から露出している。
生息地 / Habitat
- カラコルム・天文台の島
- 今後、確認できたバイオームを追加予定
行動 / Behavior
通常は殻を閉じた状態で、左右に大きく揺れながら漂うように遊泳している。
獲物となる小型生物を捕捉すると、普段とは異なる直線的な遊泳を開始し、殻を開いた状態で対象を追跡する。獲物に接近すると殻を閉じ、麻痺性の毒を散布する。毒によって動けなくなった獲物を触手で捕獲し、殻の内部へ引き込んで捕食する。
麻痺毒を散布する際にいったん殻を閉じる行動は、一見すると不要にも思える。しかしデータバンクの記述を踏まえると、この毒はセラセカン自身の殻筋にも作用するため、毒の散布中は殻を開いた状態を維持できないものと考えられる。
プレイヤーに対して敵対行動を取る様子は確認されていない。
また、人間の歌声にも悲鳴にも聞こえる、不気味な鳴き声を発する様子が観察されている。
ギャラリー / Gallery
余談 / Trivia
- 特徴的な殻を持つにもかかわらず、セラセカンは殻を作るためのゲノムを持たないことがデータバンクで言及されている。ゲノムとは、DNAに含まれる遺伝情報の全体を指し、身体の特定の器官をどのように形成するかといった情報も含まれる。データバンクの記述を踏まえると、本来のセラセカンは殻を持たないエビ状の生物であり、殻は他の生物に由来する、あるいは他の生物と“融合”した結果として獲得したものである可能性がある。このような不可解な遺伝子構造、ひいては他の生物との融合を示唆する生態は、プロテウスの他の生物にも見られる。
- 縦向きに泳ぐ二枚貝のような姿を持ち、その内部にはエビ状の生物が隠れているという非現実的な外観をしているが、これに近い構造を持つ生物は地球上にも実在する。それが、データバンクで言及されている貝虫類、いわゆるカイミジンコである。カイミジンコは甲殻類の一群であり、二枚貝のような殻の内部に小さな本体を収めている。
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データバンクの冒頭には、作中人物であるアニータ・ゴットシャルの著作から抜粋された、詩的な文章が記載されている。この中に登場する「選ばれることのなかった道」という表現は、ロバート・フロストの詩『The Road Not Taken 』を意識したものと考えられる。同詩は、分かれ道の一方を選んだ語り手が、選ばなかったもう一方の道、すなわち「あり得たかもしれない別の未来」に思いを馳せる内容で知られている。データバンクではこの表現を、地球上では微小な貝虫類に留まった系統が、プロテウスでは巨大なセラセカンのような姿に至ったという、別の進化の可能性になぞらえているものと思われる。
しかし、その後の記述では「ここでは、進化は道筋など辿らない」とも述べられている。これは、セラセカンを単なる「地球の貝虫類が別の進化を遂げた姿」と安易に類推することを戒めるものとなっている。